10.チャシ
閑話休題
「正月明け早々から二週間ほどかかって郷土資料室に展示する地形模型を作成した。
40センチ四方程の小さなものだが、アイヌの人々が砦、見張り、儀式などの場として
構築したと言われる「チャシ」の模型である。五百分の一、つまり50メートルが10セ
ンチとなっており、海沿いの断崖の先端部に1〜3条の壕が掘り込まれ、堅固な要塞
状の地形を作り出していることが理解できると思う。チャシは全道に分布しているが、
一七八九年、和人の圧政に耐えかねた目梨地方(十八世紀末では現在の羅臼・標津地
方)のアイヌが蜂起した「寛政国後・目梨の戦い」に際して五基のチャシを造ったの
が最後と言われているが、現在羅臼町で確認されている十一基のチャシの内、どれか
がそれに該当する可能性も否定できない。」(以上北海道新聞釧路・根室版2月7日
夕刊掲載)
さて、クジラ模型シリーズなのに突然何を?と思われる方もいるかも知れないが、
この模型を作りながら、そう言えば少なくても羅臼町に確認される11基のチャシの
内8基は岬状の地形の先端に位置しており、標高も30mを越えるものが多い。つまり
クジラの資源監視には絶好の位置に構築されていることに気づいた。標津、羅臼を中
心にクジラを研究されているSさんの話では、材木岩の頂上にある羅臼灯台付近から
はミンク、マッコウなどがはっきりと視認できるとのこと。数qの距離を隔てて存在
している羅臼のチャシ群では、クジラを発見したら狼煙、あるいは騒音の無かった過
去には太鼓などを打ちならしても隣接するコタン(アイヌ語で村の意味)間のコンタク
トはとれたであろうし、それによって組織的なクジラ猟も可能だったのでは無かろう
か。更に、写真はシュンカリコタン第1・第2チャシの模型だが、このシュンカリは
アイヌ語ではシュム・カル・コタン、つまり「油を採る村」、と言う意味に解されて
おり、今まで魚の油しか思いつかないでいたが、鯨油と解すると更にしっくりくるの
ではないか。等と思いついた次第。
業務多忙につき暫く休んでいましたが、石見さんの締め付けがきつく、再開せざる
を得なくなりました。現在模型は70種の作成を終了しましたが、本年度の予算が無く
なりましたので、4月以降に後数種を作って終了の予定です。次回からは掲載の残っ
た近海のクジラと、作っていて楽しかったクジラ数種を続けたいと思っています。長
かった休みのお詫びと、再び見ていただいたお礼を申し上げます。
涌坂周一 07.01.23
「ライオンの味噌煮込み」
「一斉調査」
「ルサのっこし」
「エゾサンショウウオ」
「カムチャッカ半島の旅1」
「カムチャッカ半島の旅2」
「シャチ」
「ミンククジラ」
「ツチクジラ」
「マッコウクジラ」
「イシイルカ」
「カマイルカ」
「ネズミイルカ」
「ザトウクジラ」
「イワシクジラ」
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