不時着 ラクダ山
カムチャッカ半島の旅A
クリル湖からの帰りのヘリでは航空管制による時間調整のためか、途中の大草原で不時着?
する事となった。着陸寸前に仲間の一人がクマを見つけ、ローターが止まらない内に飛び降り
ようとして乗務員に怒られる。クマ撃ちはクマを見ると見境がつかなくなると妙に感心する。
降りてみると丈の低いガンコウラン、コケモモ、チングルマ等の高山植物と真っ白くて堅い
トナカイゴケに覆われている。私も知床半島はかなり歩いているつもりだが、全くヒトの臭い
のしない地に立つのは初めてのことで感動する。
翌日は、火山灰の泥流で覆われた沢筋を軍払い下げの6輪駆動車でコリャークスキー山へと
向かう。しかし、短い日程ではこの山には登れず、隣の活火山アバチンスキー山(2151m)との
鞍部直下にあるベースキャンプ(1,000m)に一泊しハイキングと温泉を楽しむトレッキングだ。
ベースキャンプは6〜8人が宿泊できるロッジが建ち並び、温風暖房のついた巨大なかまぼこ
型テントが設置されている。ガスの中での到着だったが、ロッジの周辺には地リスが何頭も走
り回っており、写真を撮ろうと思ったが以外と用心深いのと、少し離れるとガスで見えなくな
ってしまい。写真を撮ることはできなかった。ロッジ内のセッティングが終わるとすぐにウィ
スキーとビールで乾杯だ。つまみはペトロ市内のスーパーで買ってきた香辛料で真っ赤になっ
たベーコンだが、これが非常においしい。翌朝、濃いガスの中を出発。なだらかな丘陵地を快
適に歩き続け雪渓へと出るが、この頃になるとガスもややあがってきて周囲が見渡せるように
なってくる。200m程の直立した岩峰がそそり立っており、ガイドはこの山を登るという。
若干ビビッていると、その裏側のなだらかな砂礫帯に回り込んでの登山となった。山頂の眺め
は素晴らしく、きれいな弧を描いた双耳峰となっており、山の名前を聞くと「ラクダ山」だという。
日本に帰って話をするときカムチャッカの「ラクダ山」に登ってきた、と言っても格好がつかない
ので、ロシア語で教えてもらった。それらしい「なんとかスキー山」と言っていたが、
ややこしい名前で忘れてしまった。翌日は温泉巡りのため早朝出発し、
火山噴出物で覆われた丘陵のトレッキングだったが、途中で雨が降り出したため早めの帰還となり、
再び大揺れの6輪駆動車でペテロまで戻った。今回の旅はクマ見物と低山ハイクの旅であったが
友人、岡田昇が晩年フィールドとし、情熱を傾けた地でもあったからだ。彼が写真を撮り続けた
クリル湖、彼が登った登山道を歩いていると彼の面影が脳裏を横切る旅だった。
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