関屋敏隆 wall01


   
   






赤トンボとともに旅ゆけば(山梨県昇仙峡にて)


冬、春、夏が過ぎ、今年も季節がめぐって秋が来た。  ここは甲斐の国、山梨県甲府の町はずれにある紅葉と渓谷の名所昇仙峡。 入口の天神森から仙娥滝まで約十キロの渓谷には、覚円峰、天狗岩、ねこ石、 夢の松島、らくだ岩などの名称のついた奇岩があり、紅葉と渓谷と滝と清流は、 みごとに調和して自然のすばらしさを見せてくれる。  「ああ、いい光景だなあ」。おじいさんとおばあさんは、石の上に腰掛けて ほっこりしながらお弁当の様子。ほほえましい老夫婦は名古屋の人だった。  その夜は、信玄の隠し湯とされ、上田原の合戦の折、信玄は傷つき、この湯で 直したという湯村温泉で宿をとり、翌日、宝石会館を訪ねた。世界の宝石や鉱物 の原石が展示され、その中に、大水晶もあった。  山梨は昔から水晶の産地でもあり、水晶の研磨技術はすばらしく、水晶玉をはじめ、 置物、仏像の数数に技を見る。奮発して三つほど買って帰ろう。


1990.1



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