《はじめに》
今回、平成10年度のヒグマ有害駆除固体10頭のデ−タ−を示すことにより、
各方面より10頭ものヒグマを殺したことに対する批判が起こることが予測されますが、
今までは羅臼町におけるヒグマ対策についてはほとんどデ−タ−が公表されて
おらず、外部の人々にとっては、どのような対策がなされているかをほと
んど知ることができませんでした。幸い資料を入手することができました、
現状を提示し共存のあり方を共に考えたいと思います
「平成10年羅臼町におけるヒグマ駆除固体」
<1>詳細
平成10年は極端にヒグマの駆除件数が多く、その数は羅臼町内のおいて10件に
上がった。その詳細については以下に述べる。
(*胃は切開せず北海道環境科学研究センタ−へ、郵送したため、腸内容物より
食物推定。*推定年齢及び推定体重はハンタ−による)
No.1
採集年月日:平成10年5月19日12:25
採集場所:羅臼町岬町
採集状況;長期にわたり特定の民家の畑(魚ノアラを肥料として使用)が荒ら
されていた。その民家付近で駆除。畑を荒らしていたものとは別個体
性別:オス
推定年齢20歳
実測体重:310キロ
体長:192cm
腸内容物:全域=植物繊維(ふき)
寄生虫:空回腸上部条虫sp。
その他疾患:右心拡張
備考:知床半島の狩猟及び駆除個体中最大。個体
No.2
採集年月日:平成10年6月26日
採集場所:羅臼町海岸町
採集状況:長期民家の畑を荒らしていた個体と特定。(No.1の採集状況参照)
性別:オス
推定年齢:15歳
実測体重:240キロ
体長:177cm
腸内容物:全域=植物繊維(フキ)
寄生虫:空回腸上部条虫sp。
その他疾患:左肺前葉に径2cm程度の腫瘤
備考:平成8年6月、斜里側にてイヤタグ・発信機装着個体。
N0.3
採集年月日:平成10年7月21日13:00
採集場所:羅臼町化石浜
採集状況:番屋付近に打ち上げられたトドの死体に誘因され、駆除。
せいべつ:メス
推定年齢:10歳
実測体重110キロ
体長:144cm
腸内容物:全域=黄色内容物、直腸歩に鹿の蹄、
寄生虫:空回腸上部回虫sp.
その他疾患:脂肪肝と思われる肝臓の黄変・三尖弁慢性肥厚
備考:泌乳有り(子供の姿無し)。
N0.4
採集年月日:平成10年5月10日
採集場所:羅臼町共栄町
採集状況:民家付近に出没したために駆除
推定年齢:3歳
実測体重:55キロ
体長:122cm
腸内容物:全域=植物繊維(フキ)
寄生虫:空回腸上部回虫sp.
その他疾患:認めず。
N0.5
採集年月日:平成10年8月17日
採集場所:羅臼町松法町
採集状況:民家の植え込みにいたところを発見。人に向ってきため駆除
性別:メス
推定年齢:10歳
実測体重:10キロ
体長:133cm
腸内容物:全域=植物繊維(ふき)
寄生虫:肉眼で認めず、結腸内内容物採取。
その他疾患:高度削痩、腹膜炎。脾臓に軟性の腫瘤を認めた。(脾臓原発性
の腫瘤と思われる。北大病理に組織検査以来。)
N0.6
採集年月日:平成10年8月24日18.00
採集場所羅臼町崩浜
採集状況:番屋の外に置いてあったマスに被害があったため、駆除。
性別:オス
推定年齢:3歳
推定体重:50キロ
体長:122cm
腸内容物:−
寄生虫:−
備考:計測時、すでに臓器が廃棄されていた。
N0.7
採集年月日:平成10年8月29日15:00
採集場所:羅臼町崩浜
採集状況:計2回、番屋の作業小屋の壁を壊して中に入り込んで塩マスを食べた
また通電していた電気牧柵を壊された。
性別:メス
推定年齢:8歳
推定体重:85キロ
体長:137cm
腸内容物:上部= 白色粘ちょう物,中部から下部=植物繊維(種子)
寄生虫:空回腸下部に条虫sp。・結腸内内容物採集
その他疾患:肝臓に不整形の重度に褪色した部位散在。
備考:2頭仔連れ。(1頭はN0.8もう一頭は不明。)泌乳有り。
N0.8
採集年月日:平成10年8月29日
採集場所:羅臼町崩浜
採集状況:N0.7の仔
性別:メス
推定年齢:2歳
推定体重:40キロ
体長:97cm
腸内容物:全域=植物繊維
寄生虫:空回腸中部から下部回虫sp。結腸内内容物採取
その他疾患:認めず。
N0.9
採集年月日:平成10年9月4日15:30
採集場所:羅臼町モイルス
採集状況:番屋付近で以前より出没。人を全く恐れず近寄ってくる為、駆除。
性別:メス
推定年齢:2歳
実測体重:42キロ
体長:104cm
腸内容物:上部=白色粥状物、中部=緑色粥状物・種子
寄生虫:空回腸中部から下部に回虫sp。結腸内内容物採取
その他疾患:認めず。
N0.10
採集年月日:平成10年9月14日17:50
採集場所羅臼町春日町春刈古丹
採集状況:サケマス孵化場内にて、マスを食べていた為駆除。
性別:メス
推定年齢:2歳
推定体重:42キロ
体長:104cm
腸内容物:上部=黄白色粘ちょう物、中部=植物繊維
寄生虫:空回腸部回虫sp・下部条虫sp。
その他疾患:腎炎・大腸炎
<2>まとめ
10個体中長期庭特定の場所に出没していたのは二件(N0.2、9)そのうち
直接的な被害が認められたのは1件(N0.2)、危険性の高いものは
1件(N0.9)であった。短期間の出没は7件、うち直接的被害のあったものは
4件(N0.6、7、8、10)であった。N0.5は人に向ってきたため危険と判断
され駆除された。その後この個体が末期的疾患を有していたことが判明したため
N0.5の個体は正常な行動をとっていなかった可能性があると考えられる。
その他5件では直接的被害は認められなかった。
またこれらの個体のうち、干した魚などの加工された魚の臭いに誘引されたのは
10件中4件(N0.2、6、7、8)、その可能性の高いもの1件(N0.9)の
5件であった。また、N0.10のサケマス孵化場の魚えお食べたもの、N0.5の
末期的疾患を有していたものの2つを除き、残り3件(N0.1、3、4)は
住民不安により駆除にいたったものである。
平成10年度のヒグマ出没時対応
平成10年度、羅臼町役場にヒグマ出没の通報あり、役場が対応したのは
4月25日から12月11日までの計69回(出動回数は計89回・駆除を含む)であった。
対応した延べ人数は293人、うちハンタ−は121人、役場職員・警察・その他は
計172人であった。町役場担当者だけでは対応出来ない場合、町役場の他のセクションの
人員と共に対応している。これは地元住民から通報された住宅地や番屋付近での
出没分のみで、キャンプ場付近・登山道等の出没対応地点は含まれていない。
4−12月の間、最も出動回数の多かったのは8月、次いで5月であった。4−6月の
多くが一個体による被害対策のための出動であった。
平成10年度のヒグマ追い払いの試み
@岬町・海岸町ヒグマ出没経緯(4月25日−6月27日)
4月25日:20時、岬町の民家Aの畑と隣の倉庫にヒグマが出没したとの連絡。2−3年
前から畑の肥料としている魚に引かれてやってきていた。倉庫の外に干していた
魚は初めて取られたのこと。物音がしていたことから前日の夜にも出没してれいた
可能性有り。
26日:防災無線*で全町呼びかけ。
傷跡調査で山から真っ直ぐ降りてきたことを確認、頻回この地点に出没している
個体であることが推測された。干してある魚と肥料にした魚を除去したが、
土に臭いが染みついてしまっていた。
民家Aにてハンタ−と警戒中、20時にヒグマ出没。追い払いの試みとして
忌避スプレ−の噴射を試みようとしたが、ヒグマが臀部を向けていたため
鼻などの粘膜への噴射が不可能であり、効果が疑われたので噴射せず。ヒグマは
山へ歩き去った。この後、忌避スプレ−2本、ヒグマの侵入経路に噴射したが
23時ころ同経路をへて再出没した。
27日:夜間警戒。出没なし。
28日:19.30分頃、民家Aから80メ-トル程度の地点にある民家Bに出没。
21時民家Aに出没。右耳が小さいという特徴確認。
頻繁に出没している地域に小学校があるため、夜間外出しないよう生徒へ指導
することをお願いする。
4月29-5月1日:夜間警戒。出没なし。
5月1日:民家Aに電気牧棚設置。
5月2日:民家Cの畑周囲に張り巡らせたあったシカよのけ網を破り、畑に出没
誘引物一部排除。
夕方から翌朝にかけて小学校に隣接民家Dに出没し、軒下につるしてあった魚を
とった。足跡の大きさから、民家Aに出没している個体と同一と推測された。
5月3日:民家Cの畑に出没。誘引物すべて撤去。
5月4日:ヒグマ頻回出没地点付近のイヌが異常に吠えるが、ヒグマ確認できず。
5月5日:付近のかわの上流で、同程度の大きさのヒグマ確認。
5月6日:離れた浜で同程度の大きさのヒグマ確認。両耳がおなじ大きさであったので
異なる個体であると思われた。
5月7日:民家Dの倉庫に忌避スプレ−装置設置**
民家Dの倉庫に19時30分-21時の間に出没したと思われる同個体の足跡有り。
噴射装置に触れた形跡無し。21時頃、民家Cの畑に侵入。
5月8日:頻回出没個体を、ひとの放置した物をを狙うように馴化されたものと断定
駆除決定。
5月8-11日:ハンタ−と民家Cで待機。出没なし。11日に別個体と思われるヒグマ出没。
5月12日:別個体の出没は確認されたが、7日以降、岬町にて頻回出没個体とは確認
出来なかったため、新たな情報待ちとパトロ−ルのみの体制に切り替えることとなる
5月19日:岬町の民家E裏にヒグマ出没との通報有り。11日に出没した個体と同じと
思われ、駆除(N0。1)。
5月20日:海岸町で出没情報。確認出来ず。
5月28日:共栄町で出没情報。確認出来ず。
6月6日:海岸町で出没情報。誤認と判明。
6月21−22日:海岸町にて出没、倉庫のガラス窓を割る。
6月22日:防災無線で海岸町のみ呼びかけ。
11時20分頃、海岸町の民家の軒下に干してあった魚と、ポリ缶にあった魚をヒグマにとられたの通報あり。
別の民家の畑にもその個体の足跡あり。警察が足型の石膏型をとる。
民家裏でヒグマが寝ていた跡確認。23時、海岸町にて出没。
6月24日:防災無線で海岸町のみ呼びかけ。
6月24−25日:20時・24時に2回出没、発砲するも被弾せず。
6月25−26日:防災無線で全町に呼びかけ。
6月26日:12時、海岸町民家裏にて2個体出没。ハンタ−と待機。
6月27日:広範囲で被害を与えていた個体駆除(No2)。
A非致死的ヒグマ対策の効果
1.忌避スプレ−発射を試みたが、目、鼻など粘膜にむけて発射出来なかった。
2.忌避スプレ−を地面に噴射したが、2時間後にはその地点に出没した。
3.忌避スプレ−自動発射装置にヒグマが接触した形跡は認められなかった。
一方で、その近辺でヒグマは頻繁に目撃された。
4.電気牧柵内にはヒグマのはいった形跡は無く、効果があったと言えた。しかし、住民が畑に入る為には
ゲ−トの開閉などに手間が掛かる。また、設置のためには多額の費用がかかるため全ての出没地に設ける
ことが不可能であり、もし設置したとしても密集した住宅地であるので子供などにたいする
電気牧柵自体の危険性が否定出来ない。さらに電気牧柵設置業者の話によるとヒグマが
電気牧柵に触れた後にそこで大暴れをしたという例が有るとのことで、電気牧柵を100%信頼する事は出来ない
ようであった。
5.防災無線でヒグマの出没情報を流すとともに、ヒグマの届く所に魚を干さない・
ごみの処理を徹底するなどの
対策を報じた。しかし改善されない状況が多くみられた。
6.これらの試みの様々な試みの成果が上がらない状況を見て住民不安が募り、
早くヒグマを駆除して欲しい
という意見がたかまった。
B駆除個体
5月19日、ヒグマが住宅裏で草を食んでいる所を住民が発見、役場に通報有り、
役場職員及びハンタ−が出動し
射殺した。この個体は、前述の住民に被害を与えた個体と掌幅が異なっており、
両耳とも同じ長さであった。
これにより、頻繁に出没していたものとは別個体であることが判明したが、この個体も5月11日民家付近に
出没していることから
駆除された。この個体は知床半島で駆除された個体で記録にのこっているものの中では、最大であった
6月26日、もう一頭が射殺された。この個体の掌幅は頻繁に出没していた個体と同じであった。
また右より左の耳が短く、これらよりこの個体がその付近で長期にわたり被害を与えていた個体と同一で
あると特定された。右耳にはイヤタグが装置されていたが、これにより平成8年6月に斜里側で罠により
一旦捕獲された個体で有ると確定した。斜里側で捕獲した時点でイヤタグ(両耳)と発信機を措置
されたが、後に発信機が脱落し追跡できなくなっていた。左耳にイヤタグが付いておらず、
耳介中央部より先端方向に3cm程度の陣旧の裂傷があり、両耳介を比較すると左が右より
短くなっている状態であった。この後、それらの特定の住宅近辺での連続的ヒグマ出没は
なくなった。
Cその後のヒグマ対策
平成10年は例年に比べ極端にヒグマの出没回数が多かった。羅臼町役場では担当者が
1名のみであるため、
役場の他のセクションの人員の協力があったものの、
出没に対応するだけでも担当者の体力的・精神的
限界に近い状態だあった。ハンタ−からは羅臼町住民の不安感をうけ、住宅・番屋等の近辺に
出没したヒグマに対しては追い払いの試みで危険を長引かせたり増大させたりするよりも
速やかに駆除を行なったほうがよい、との意見が強くなった。
Dまとめ
非致死的対策は結果的に成功しなかったが、この過程から以下の事が判明した。
1.忌避スプレ−を地表に散布しても、ヒグマは2時間後には
散布した地点に現れた。
2.伝聞であるが、電気牧柵に触れたヒグマが暴れて周囲を荒らした事例がある。
3.追払いは
現在の羅臼町の担当者1人で対応するには無理がある。
4.羅臼町民の間で、少なくとも聞いた範囲では、現在の状況で羅臼における
ヒグマ対策において駆除意外の方法は否定的意見が多い。
5.羅臼町民の間で、少なくとも聞いた範囲では、斜里町のおける追払いなどの対策に、
よって羅臼町側にヒグマの被害が多くなったと感じる人が多い。
6.町役場から、魚をヒグマの手の届かない所に干すよう、紙面や防災無線
で呼びかけたが、効果はあまりあがってない。
*:防災を目的として各戸に羅臼町が設置した。
**:忌避スプレ−に餌を連結させ、餌を引っ張るとスプレ−が発射される装置。
知床半島における羅臼町と斜里町のヒグマ出没時の対応
知床半島の脊梁部を隔てて東側に羅臼町、西側に斜里町が位置しており、
様々な面でこの2町は比較対照される。ヒグマ出没の対応に置いても同様で有る。
斜里町ではヒグナ出没時の追い払い、再配置、発信機装着による追跡調査など
様々な試みがなされており、他の市町村と比較して突出した成果をあげている。
同じ知床半島、ヒグマの活動範囲が両町にオ−バ−ラップしている。
狭い地域での格差は、様々な問題を提起している。その格差は同じ知床半島
でありながら、2町の様々な条件の違いにより生じている。
次に羅臼町と斜里町の相違点をあげる。(平成10年ど現在)
1.対応機関(出没時の対応・デ−タ−収集・観光客や住民への啓蒙などを含む)
羅臼町:基本的に羅臼町役場環境課自然保護係が対応し、知床国立公園羅臼ビジタ−センタ−が
サポ−トしている。また、猟友会中標津支部羅臼会に出動をするケ−スが多い。
斜里町:基本的に知床自然センタ−管理事務所(斜里町役場出先機関)が対応を担当し
斜里町自然保護係がこれをサポ−トする。その他状況によって、知床管理財団(知床自然センタ−)
や知床博物館、斜里町役場水産林務が対応に加わることもある。駆除などの措置
が想定される場合は猟友会斜里支部に出動を要請するケ−スが多い。
2.対応人員(警察を除く)
羅臼町:役場職員1人(ビジタ−センタ−管理等兼任)が対応し、警備・駆除等火気器の必要な
場合は全て猟友会中標津支部羅臼部会に要請している。
斜里町:基本的に知床自然センタ−管理事務所の研究員1名と臨時職員1−3名(時季により増減あり)
の計2−4名が対応実施し、斜里町役場自然保護係長がこれをサポ−トする(土・日曜は、管理事務所
研究員と自然保護係長が交代で自宅待機)。この他、必要な教育を受けたボランテアが対応(危険性の
低いパトロ−ル業務中心)に加わることもある。また、状況によって知床自然センタ−職員及び臨時職員に
協力を仰ぐ。駆除などの措置が想定される場合のみ、猟友会斜里支部のハンタ−数名−10名程度に出動を
要請する。
3.対応方法
両町とも対応の流れは、
ヒグマ出没情報入手=>聞き取り調査などによる状況把握=>現地調査による危険性の調査と
これにもとずく対応方針の決定=>各種対応実施、となっている。
羅臼町
具体的な対策としては、
ヒグマ誘引物資(人為的ゴミ、加工水産物、肥料など)の除去、かんばん設置、番屋の電気牧柵設置、
駆除等を行なっている。平成10年には防災無線による呼びかけ、忌避スプレ−を使った対応、
民家に隣接する畑の電気牧柵設置等が試みられた。しかし対応人数の不足により、
一旦追い払った個体が再度戻ってきたり、さらに人に被害のでたりした場合の対応が
十分に出来ないとの理由で、ハンタ−による駆除が中心になっている。
斜里町
具体的な対策としては、
威嚇弾(ゴム弾、花火弾)、犬などによる出没個体の追い払い(忌避学習付け)を中心に、ヒグマ誘引物質
(シカやアザラシの死体、アリ、人為的ゴミなど)の除去、遊歩道の定期的なパトロ−ルや緊急時の閉鎖、
注意看板の設置、マナ−の悪いキャンパ−の公園外への誘導、電気牧柵設置(サケマス孵化場等)、
問題個体の生け捕り、移動再配置等があげられる。また駆除措置が必要となる場合もあるが、
これはあくまでも他に手段がない場合も最終的なオプションとして位置付け、可能な限り”非致死的な軋轢回避”を
中心に対策を進めている。
4.役場予算
羅臼町
予算は斜里町の約30%で、ハンタ−への報奨金がそのうちの50%が以上をしめる。
その他に、船の賃貸料(羅臼側では船のみ往来のできる番付近にヒグマ出没が多いため)、
需要費(忌避スピレ−・クマ檻・電気牧柵など)、賃金等が含まれる。
斜里町
クマ対策臨時職員や緊急時に出動を要請するハンタ−の賃金、」ヒグマ対策の消耗品
や原材料、知床五湖園地の夜間閉鎖業務の依託料等、合計500万程度。ただしこれには
知床自然管理事務所の研究員1名と臨時職員(調査研究補助員)1名分の賃金は含まれない。
5.研究者
羅臼町
現在ヒグマに関する調査は行なわれていない。
斜里町
知床管理事務所を中心に、1980年後半からヒグマの基礎的な調査研究が継続されており
これらの調査結果や調査手法が近年のヒグマ対策活動の中に生かされている。
6.人の生活圏の範囲
羅臼町
斜里町に比べて住民の生活圏が知床岬よりに広がっているため、住民とヒグマが
接触するケ−スが多い。国立公園内に漁業番屋は百以件上存在する。
また、湯の沢集団施設地区に宿泊施設3件、公共施設・事業所5件、サケマス孵化場1件
が存在する。その外にルサから相泊に通年の宿泊・飲食店が1件あり、夏季には番屋を
利用した宿泊施設が数件存在る。
斜里町
人口はヒグマ密度の低い半島基部に集中している。その他、国立公園内に隣接した
ウトロ地区にまとまった集落(人口1500人程度)があるが、公園内にはほとんど住宅は
存在しない(宿泊施設3件、売店1件サケマス孵化施設1件、漁業番屋7件のみ)。
ただし近年、漁業番屋へのヒグマ侵入被害が多発している。
7.主要産業
羅臼町
漁業を中心としており、その他の産業はごく小規模である。
現状ではヒグマを保護しても地元住民の直接的な利益が薄く、
危険性・慣例の改変・設備の設置等において、住民にとって負担が増大する。
斜里町
農業及び寛厚に力を入れている。特に一般観光客の誘致と同時に
観光客への自然保護の啓蒙が行われており、観光による地元の益と自然保護のバランスを保っている。
8.住民意識
羅臼町
漁業関係者が多く、魚のアラなどの漁業廃棄物を周囲に捨てる、自宅や番屋で魚を干す、
畑の肥料として魚を使用する、等が慣例として行われている。
そのため臭いに誘引されてヒグマが番屋や民家近くに出歿するケ−スが多い。
斜里町
概ねヒグマ対策についての住民意識は高い(近年のヒグマ出没多発によるマスコミ報道の影響や
役場サイドからの注意の呼びかけなどによる効果も大。
漁業番屋などでは、ヒグマ侵入事件発生以来、漁期終了後の番屋内に食料を一切残置しない
などの対策を実施している。
9.キャンプ場・遊歩道等における観光利用者等に対する対応
羅臼町
キャンプ場DR焼き肉などの臭いの強い料理をしたり、釣り魚を干したりすることが慣例的に
行われているが、現在のところ行政として言及していない。
キャンプ場付近や遊歩道にヒグマが出没した場合、看板の設置により注意するよう呼びかけているが
追い払いや立ち入り禁止等の処置は行っていない。
斜里町
公園内にいわゆるキャンプ場は存在しないが、スペ−スを見つけて幕営する観光客が多い。
これらのキャンパ−に対しては、定期的に巡回して特に食糧管理の徹底をお願いするとともに
可能であれば公園外(よりヒグマの生息密度の低い地域)へ移動してもらう。
概してマナ−の悪いオ−トキャンパ−対策としては、岩石等を用いては主要な
オ−トキャンプスペ−スを物理的に封鎖する等の対策を実施。
遊歩道については定期的なパトロ−ルによるヒグマ痕跡状況の把握や、誘引・
定着物資の
早期発見、除去に努めるとともに、状況によっては一部閉鎖、あるいは全面閉鎖処に置
よる人間の入り込みのコントロ−ルを行なって安全を図っている。
両町関連事業
知床連山縦走路のキャンプ指定地においては、環境庁を主体として
知床自然センタ−及び両町、道、営林署が協力しながらヒグマ対策食料保管倉庫
の設置をすすめている。
知床半島における羅臼町と斜里町の地域利用の相違
知床国立公園内の番屋数(利用されている番屋のみカウント)
羅臼側
*一般道路・林道のある地域
キキリベツから相泊:67戸
*一般道路・林道のない地域
相泊から知床岬:40戸
計:107戸
斜里側
*一般道路・林道のある地域
幌別からルシャ:1戸
*一般道路・林道のない地域
ルシャから知床岬:6戸
計:7戸
*羅臼側の国立公園の範囲はルサから知床岬の地域であるが、
キキリベツから数えられている。
途中です続く
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