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美しさゆえか,温かさゆえか、人は羅臼に魅せられてゆく 森の達人・海の達人 本物の羅臼の自然は、 本物を求める人間たちを引き寄せる。 羅臼の自然に魅せられ、町外から移住した2人の達人 石井英二さんと関勝則さん。 「森」と「海」 それぞれのフィ−ルドを知り尽くした2人は、 ここから世界に向けて、 羅臼のネイチャ−・ワ−ルドを発信する。 旅は思い出から、生きる目的へと昇華下した。 |
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厳寒の海は命と色彩の海
その日、寒風吹きすさぶ初冬の海は、少し荒れていた。 関勝則さんが代表を務める「知床ダイビンング企画」のビ−チハウスは、 ”ロ−ソク岩”と呼ばれる岩の沿岸にある。この日も、札幌や本州から 訪れたダイバ−たちが、悪天候にもかかわらず、冬の海を楽しんでいた。 「『まったくなにが悲しくて、こんな寒い海に潜るんだ』って漁師の人 にもよくからかわれるんですが」と関さんは笑う。 よほどの荒波でない限り、ダイビングは可能なのだという。もっともスキュ−バ・ダイ ビングをまったく知らない人にとっては、冷たい海に潜って凍死しないのかがまず不思 議だろう。冬のダイブには「ドライス−ツ」というものを着用する。ドライの名の通り 、海水が肌に触れることはない。ス−ツの中に防寒儀を着込むことも出来る。関さんは 、ここを訪れたダイバ−への水中ガイドを行う一方で、この地点で年平均200日もの 「定点観測」を行い、それをカメラに記録し続けている。 ![]() 関さんの写した体調3メ−トルのニュウドウイカの写真が、世界最初の生態写真として 脚光を浴びたのは昭和63年のこと。本来は深海に棲む巨大イカが、付近の浅瀬をただ よっているのを関さんんがとらえ、専門家たちを驚かせた。同じくテカギイカの抱卵や ナツメダコの成体を写した写真も世界初。また今では「流氷の妖精」として誰もが知る クリオネを日本でいち早く撮影したのも関さんである。 冬は流氷に閉ざされる厳寒の海。 しかし、そこは、濃密な生命に彩られた海である。 新種・珍種の発見も後を絶たない。 ![]() 羅臼の海の中には、豊かな四季があるという。これまでせかいの多くの海でダイビング 経験を持つ関さんだが「羅臼の海ほど、四季が明確な海はなかなかないんです」 その理由は、夏と冬との大きな水温差にある。羅臼の海の水温は、夏には22度まで上 がり、冬はマイナス2度まで下がる。この振幅の大きさが、 海にドラマチックな変化をもたらすのだ。 |
春るから秋にかけては、さまざまな海草が入れ替わり立ち替わり繁茂し、魚たちの楽園 となる。そあひて、海草が枯れる冬には、流氷が豊富なプランクトンを運んでやってく る。それらを食べる魚や海獣で、流氷域は再び生き物の宝庫となる。同じフイ−ルドで も、ひと月たてば迷子になりそうなほど、その様相は劇的に変化するという。 さらに羅臼の海が豊かであるもう一つの理由は、「狭くて深い」という独特の形状にあ る。知床半島と国後島に挟まれた海(根室海峡)は、オホ−ツク海に向かって200メ −トルもの水深を持つが、海峡部ではわずか17メ−トルほどの水深でしかない。 「つまり、ここに入ってきた生き物を外に逃がさない、 天然の定置網のような海なんです」 水中は無重力の世界に似ているという。 そこでカメラを固定し、対象を撮影するのは容易なことではない。 また、水中でフイルムやレンズの交換ができないなど、多くの制約もある。 ![]() 「クリオネなんかの撮影だと、極端な話、飛びまわる蝶蝶を走り ながら写すような難しさがあります」と関さんはいう。 加えて、冬の海である。氷点下の海水と、吹きすさぶ寒風で、 顔や指先が凍傷にかかることもしばしばだ。 「でも、毎日いろんな生き物に出会えるのがもう楽しくて楽しくて・・・・ それと、今この海を記録するのはぼくしかいないという 使命感のようなものものも確かにありますね」 ロソク岩付近は、羅臼の海を凝縮して見せてくれる格好のフイ−ルドである。 当然、魚場としても最適な場所だ。その意味で関さんは、 地元の漁師たちの理解と、彼らへの感謝を強調する。 知床ダイビング企画では、根室支庁や羅臼漁協からの依頼を受け、水産資源 調査にもたずさわる。豊かだといわれる羅臼の海も、時々刻々と移り変わり 時には生き物たちの悲鳴が聞こえることもあるという。関さんは、そんな海 での体験を子どもたちに伝えるため、北海道教育委員会の講師として、 小中学校でのスライド講演活動も行っている。 「ダイビングの魅力といえば、 やはり異次元にはいっていくことのすばらしさでしょう。 音のない海の中層に、ポ−ンと浮いているときの浮遊感と孤独感。 あの不思議な感覚が、なんともいえない海の魅力なんです」(W) ![]() 関さんのホ−ムぺ−ジ |