
観音岩の手前の渓流でそのまま釣り雑誌の表紙になりそうな位、 頭の先から つま先までビシッと決めた二人のルアーマンに出会った。 「オショロコマですか?」 と声をかけてみたが、こちらの方に一瞥をくれて一言 「あぁ」とも「うぅ」 ともつかない返事が返って来てそれで終わり。 自然を愛する人はおおよそ愛想が悪い。 8:10am 休憩。少し雲が出てきた。岬までの行程はほとんど陽射しを さえぎる物がないので、こうなると雲も有り難い。 8:40am 最初の難所、観音岩に着いた。 一度は海沿いに進もうとしたけれど 切り立っていて スパイダーマンでもない限り無理。戻って朝食にする。 レトルトのお粥とローストチキン、豪華だ。しっかりと食べて体力を 維持 する事が大事だし、リュックを重くしているものから早く食べないと・・・。 休んでいると、とても大きなリュックを背負った若者が後からやって来て 黙々と登る準備を始めた。 こちらは腹もふくれて気分が良かったので、割と明るく 「何回か来られているんですか?」 と声をかけてみた。 帰って来た返事が 「ニ度目です」 の一言。 自然を愛する人は愛想が悪い。 春渓 |
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懐かしきおもひで ![]() 羅臼………。ある夜、鹿をひき殺してしまった中年男性一人。 その中年男性がとった行動はなんと……家から軽トラを取り寄せ、鹿を自宅へ輸送(笑)。 解体……食す!!! 熊……、良く熊がでることが有名な羅臼。はっきり言ってしゃれにならん。 ある夜アパートのベランダから外をふと眺めたら……小熊が!!! ……知床半島のさきっぽに近くなるほど羅臼では熊が出没する件数が多いらしい。 鹿……、ある日の夜8時すぎ。いつも通り野球の練習を終え、受験勉強を少しこなした 私は、いつもとおり噂の松○ストリート(笑)で自転車を自宅へ向かって走らせていた… 「ガサガサガサ!!」 すぐ右の丘から何者かが移動する音が! そこにはたくさんの鹿の群……。10頭以上いたであろう鹿の視線が私に向けれる……。 なんとおそろしや……冷や汗ものだ(^_^;。 吹雪……、ある日の朝。新聞配達のため朝4時に起きた私は外の異変に いち早く気づき窓を開け唖然とする………「猛吹雪!」 風がゴーゴーと音をたて、いつも見えているすぐ側の丘が吹雪で見えない……。 こんな日に新聞配達なんて………。 上下の防寒具(笑)に、軍隊マスク?とゴーグルに手袋、長靴という重装備で 外へ繰り出す。よそうどおり膝まで雪がある…。 しかも吹雪で前はよく見えない。ブルドーザーの除雪が入る、ブルドーザーのいる場所は かすかに見えるライトと特有の移動音で判断する。 ブルドーザーにひき殺されるとシャレにならないと思いながら配達を急ぐ こういう日は6時頃になって雪がぴたりとやみ、バスも平常通り動くので学校もある。 なんと理不尽な……。 配達途中、与えられた件数の半分もこなした頃、5時になる。 そのころになって、はかったように本当の猛烈な吹雪がやってくる。 暴風、前に進めず。立つこともままならない中で。 ほふくぜんしんの一歩手前、 かがみ前進?(しゃがみながら少しずつ歩く)で切り抜ける。 そんな暴風も10分もすればやむので、やんだと確認すると同時に立ち上がり 走って配達。6時に配達を終え、シャワーを浴び 飯を食って新聞をながめながらテレビで天気予報を確認し。 やはり学校はあるのかとため息をつきながら学校へ登校する……。 これが高校3年間の生活で一番、酷だった時期の生活スタイルだ。 シ−マ− ☆シーマー君のホームページ |
ペキンの鼻を少し過ぎた所に、あと5〜6メートルという所で オーバーハングした壁に行く手を阻まれて渡れないポイントがある (青色のライン、ルートは向かって左から右方向)。 上の方に見える岩の割れ目を伝わって乗り越えようともしたけれど、 どうしてもダメ。距離は短いけれど、「プカプカ」の練習に ちょうどいいと思い少し戻った所の岩場で準備を始めた。 その場所も荷物を広げるスペースは全然なく、岩の壁にへばりついた状態。 服を脱いでパンツ一枚になり、やっとまたげる所にある小さな離れ岩に リュックを置いた(赤色の矢印)。シュラフとウエストバッグをビニール袋に 入れて、さて残りの荷物を入れようとしたその時、悪魔のような波の音ザザザァ〜ッ。 おりゃぁ?と振り向くと、ちょうどリュックが波にさらわれて岩から転げ落ちるところ。 それはスローモーションのようであり、悲しい光景だった。 主役より早く、勝手にプカプカするなんて・・・。こんなに慌てた事は最近なかった。 靴をビニール袋に放り込んでパンツ一枚のままウォリャ〜と変なかけ声とともにと 海へ飛び込んだ。当然準備体操なし、心の準備なし。 冷てぇ〜、 足ヒレなしだから進まねぇ〜。半分沈みかけているリュックに必死になって 泳ぎ着き、「何でこうなっちゃったの?」と独り言をつぶやきながら対岸まで泳いで リュックを引っ張り上げた。中身は完全、完璧・・・水没。全部ボタボタ。 (ああ、もうダメだ、こりゃダメだ。帰るしかないか)と悲観的になる。 が、しかし、今まで数多くの”トホホ”に遭遇してその都度何とかクリアーしてきた 春渓さんは立ち直りも早い。気を取り直して、流木とロープを拾い集め、 即席の物干場を造り、海水がしたたる衣類を絞って干す。 なかなか立派な物干し場ができた。情けない思いとは裏腹に、 旅ってこれがあるから面白いと妙な気分になる。デジカメとかの貴重品が入った ウエストバッグとシュラフ、靴が助かったのが救いか。 衣類は一枚残らず濡れてしまったので、潮臭い湿った身体が気持ち悪かったけれど 早々とシュラフにもぐり込んで・・・寝る。春渓 春渓さんのペ−ジ |
「おい! おめえ、どこさ行く!?」 不意に後ろから、吹雪に乗って大声が届いてきた。 びっくりして振り向くと、横殴りの雪が顔に襲いかかってくる。 急いでジャケットのフードを深くかぶりなおし、 声のした方向を目で探った。すると、雪かき用のスコップを 持ったおじさんが怪訝そうにこちらを見ていた。 僕は、負けじと大きな声で答える。 「展望台までー!」 「おめえバカでねえか? こっだら雪降ってるのに!」 その日、北海道全域では記録的な雪が降り続いていた。 僕が暮らしている知床半島の羅臼という町でも、 一晩で30〜40センチくらい降り積もった。 夜が明けた今も雪はやむことがなく、 さらに記録を更新し続けている。 「いやあ、ちょっと散歩に行ってくるだけですよ!」 「…………フン」 僕の受け答えが的外れだったのか、おじさんは何も言わずに 雪かきを始めてしまった。 雪国に生まれ育ち、さんざん雪で苦労している地元の人にとって、 僕のように自ら好んで雪の中へ入って行く人間というのは、 やはり奇妙な存在に思えるのだろうか? 出鼻をくじかれた思いだったが、気を取り直して再び歩き始める。 町から展望台までの距離はおよそ1.5キロ。 僕は今、ちょうどその登り口に来ている。 この辺りまでは生活道路として使われているので 除雪が行なわれているが、登り口から先は 降り積もった雪がそのまま残っている。 僕はその中に足を一歩踏み入れた。 「ズボボボ」 こそぐられるような感触が足の裏に伝わる。 さらにズンズンと歩を進める。 しかし、心地よささえ覚えるその感触とは裏腹に、 歩く速度は極端に遅くなった。 「ズボボボ、ズボボボ、ズボボボ」 それでも僕は歩き続ける。いくら雪道とはいえ、 しょせん舗装道路。道なりに進みさえすれば、 黙っていても展望台まで着くのだ。 しかも往復たったの3キロ。おあつらえむきの 散歩コースであることに変わりはないはずだ。 そして、実際その考えはそれほど間違っていなかった。 あの出来事さえなければ……。 それは「展望台まであと1キロ」の看板を過ぎたあたりだった。 ふいに背後に気配を感じた。 折からの吹雪でほとんど物音はかき消されているが、 確かに何かの気配を感じた。 真っ先に頭に浮かんだのはヒグマだった。 この時期、ヒグマは冬眠しているのが普通だが、 極まれに冬眠しないヒグマがいるという。 冬眠に適した穴を探せなかったり、 冬眠前に充分な栄養を蓄えられなかったりというのが その原因で、そういったヒグマのことを穴持たず≠ニ言う。 実際、北海道開拓時代に苫前郡の三毛別という村が 穴持たず≠ノ襲われ、村人7人が殺さるという悲劇が起きている。 もう90年近く昔の事件なので現実味はないかもしれないが、 ここは北海道最後の秘境と呼ばれる知床だ。 そんなヒグマが現れても、驚きこそすれ不思議ではない。 僕はおそるおそる振り返った。 吹雪の間を縫うように視線を送ると、50メートルほど後ろに 灰色の防寒着を身にまとった男がいた。 一瞬ギョッとしたが、人間と分かりすぐにホッとした。 この先にあるスキー場の人間だろう」と思い、 雪道をのぼることだけに専念した。 スキー場付近になると、よりいっそう積雪が多くなっており、 場所によっては太ももまで沈むこともあった。 そんな道路状態なものだから、10メートル進むのに 1分くらいかかる有り様だった。 スキー場を過ぎ、展望台まで残すところ300メートルほどとなった。 気持ちにもだいぶ余裕が生まれ、 「さっきの灰色の男はどうしたものか?」と振り返ると、 なんと僕の後方20メートルくらいの位置にまで迫ってきていた。 しかもスキー場に入る様子も全くない。 まっすぐ僕に向かって進んでいるようにさえ思えた。 僕は急いで歩き出した。雪道を漕ぐように進みながら、 色々なことが頭に浮かんだ。 「ちくしょう! あの野郎、いつの間にあんなに早く進んだんだ? 後からきたヤツに抜かれたらカッコワルイじゃねーか! ……いや 待てよ、ひょっとするとあの野郎はこの辺りの管理人で、オレを捕 まえようとしてるのか? いやいや、ひょっとすると快楽殺人者か もしれないぞ。いずれにしても、抜かれるわけにはいかねえな!」 そんな僕の乱れた心を具現化するように、 吹雪は一段と荒々しいうなり声をあげながら 山肌を、そして僕を舐め上げる。 それに呼応して僕の心もさらにはげしく揺れる。 一歩進んでは振り返り、二歩進んでは振り返る。 その度に灰色の男は僕との距離を縮めている……ような気がする。 僕はなりふり構わず走り出した。 流れ出るヨダレと鼻水。それらをすすることもなく 「ゼエゼエ、ハアハア」と突き進む。 しかし、その焦りを嘲笑うかのように、雪道は僕の足にまとわりつく。 どんなに前に進もうとしても、運動量と進行距離が比例しない。 夢の中で走っているような感じとでも言おうか……。 それでも無我夢中で進んだおかげで、 灰色の男を大きく引き離すことができた。 前方をよく見ると、のぼり坂が終わっている。 「やった! この坂をのぼり切れば、展望台まであとわずかだ! ……でもよく考えたら、展望台に着いたからといって灰色の男から 逃げのびた訳じゃないんだよなあ……」 再び焦りがぶり返してきたが、かといって留まる訳にもいかない。 僕に残された選択肢は前へ進む≠セけだった。 展望台付近はことのほか風が強く、 そのおかげで地面には雪があまり積もっていなかった。 思い通りに足を動かせるようになった僕は、 今度こそ全速力で展望台へと駆けつけた。 灰色の男ははるか後方だ。 展望台の屋上へとつながる階段を駆け上がり、 息つく間もなく振り返って灰色の男を探した。……いない。 相変わらずの吹雪のせいで視界は極めて悪いが、 それでも50メートルぐらい先までは見渡せるようになっていた。 僕は、今来た道をズズズーっと目で追ったが、 やはり灰色の男はいない。 「もしかして、もう展望台まで来てるのか?」 展望台の周辺を見回すが、足跡は僕のものしかない。 やはりまだ来てはいない。 その時、視界の片隅で何かが動いた。すぐさま焦点を合わせる。 いた! 灰色の男だ。 灰色の男は、まだ雪道の中でモコモコと動いている。 しかし彼がいる場所は展望台へと続く道ではなく、 そこから脇にそれた自衛隊の敷地へと続く道だった。 緊張が一気に解けた。 何のことはない、灰色の男は自衛隊関係者だったのだ。 横殴りの雪を全身で受けながら、 僕は雪かきのおじさんの言葉を思い出した。 『おめえ、バカでねえか?』 ……いやあ、大バカだ。 ふもとへ降りてくると、 町は雪化粧を落とす人々で賑わっていた。 大人も子供も手に手に色鮮やかなスコップを持ち、 道路では何台もの除雪車が行ったり来たり……。 お祭りさながらのその光景を見ていると、 ついさっきまでの逃走劇がまるで夢のように思えてきた。 僕は気を取り直し、お祭り≠ノ参加すべく 家路へと急ぐのだった。 こぐま |